もしも建物が話せたら

2016.3.3

3/3 晴れ

図面の製本で渋谷まで出たので、夕方から
アップリンク渋谷で『もしも建物が話せたら』を観てきました。
全部で6本の短編から成る映画でタイトルの通り、建物の語りで進んでいきます。
2時間45分とやや長い作品でしたが、簡単に感想を。

①ベルリンフィルハーモニー(ドイツ ベルリン H.シャウロン設計)
オープニング、「建物はあなたが考えている以上に世界に影響を与えている」から始まります。
一昨年の秋に現地に行ったときは外観しか見られなかったので、
建物の隅々まで見れ、実際にの演奏も聴けるのは貴重です。

②国立図書館(ロシア サンプトペテルブルク E.ソコローフ設計)
他の建物と違って、唯一現代建築でありません。
司書が本を運んだり、ページをめくるシーンが多く、眠くなってしまいました。

③ハルデン刑務所(ノルウェー ハルデン H.H.ホイルン設計) 
森に囲まれた環境にある刑務所で、居心地がよさそうです。
世界でもっとも人道的な刑務所らしく、囚人の表情も穏やかに見えました。
ちなみに、再犯率はヨーロッパの中でもかなり低いようですが、
出来てまだ数年なので長い目で見ていく必要がありそうです。

④ソーク研究所(アメリカ サンディエゴ L.カーン設計)
写真では何度も見たことのある建物ですが、収納が充実していることを知りました。
依頼主のソーク氏とカーンとの音声から、2人の信頼関係も感じました。
ただ、同じようなアングルの動画が多いのがやや残念。

⑤オペラハウス(ノルウェー オスロ スノヘッタ設計)
独特な形のオペラハウスですが、街とのよい関係がよく分かります。
ベルリンフィルハーモニー同様、舞台裏を含めた、実際の使われ方が観れます。
「建物は人よりも寿命が長い、私はその人たちの記憶を残していく」という言葉が印象的。

⑥ポンピドゥーセンター(フランス パリ R.ピアノ+R.ロジャース設計)
これも有名な建物です。搬出入などの裏方を含めて、
利用のされ方が分かりやすくまとめられています。

普段見られないアングルで、写真とは違った情報を確認できた映画で見応えがあります。
内容的には、原題のCATHEDRALS of CULTUREの方がしっくりくるように感じました。

もしも建物が話せたら

ちなみに・・・1月に見たサウルの息子も印象に残る映画でした。

アウシュビッツ収容所でのハンガリー系ユダヤ人、サウルの物語です。
彼はゾンダーコマンドとして、淡々と作業をこなしていきますが、
そんな中で息子を目の前で殺され、ユダヤ教式の埋葬を行うための行動にでます。
終始、独特の撮影手法(彼の後ろ側からの視点で、背景がボケている)がとられています。
人としての尊厳を考えさせられる、忘れなれない映画になりそうです。

サウルの息子

Category: そのた
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