新篠津西の家
北海道新篠津村の郊外に立つ小さな平屋です。子育て中の家族が3人で暮らします。周りには田畑が広がる自然豊かな環境で、四季を通じて美しい景色が広がる一方で、冬は豪雪、強風といった過酷な環境になります。
建物は桁間7間、梁間3間のコンパクトな矩形で、一尺間隔で登り梁と垂木が棟木にかかるシンプルな構造です。登り梁、垂木にはツーバイ材を使うことで、コストを抑えながら意匠にも配慮しています。特徴は、建物を守る深い軒、自然落雪を促す3.5寸勾配の切妻屋根、冬の西風対策を兼ねた水回り、隣の旧家(主に収納用)と行き来しやすい建物配置、将来の間取りの可変性です。室内の仕上げは道産カラ松材、霧島シラスの左官塗り、屋外には道産トドマツ板押縁貼(木酢液ドブ漬け)と経年変化する自然素材で構成しています。
家づくりに積極的に参加してくれたご家族。木部の塗装作業の後には、実際に手を動かすことで、より愛着が湧いてきたと嬉しそうに話してくれたのが印象的でした。つくる過程を知ってこれからどう住みこなしていくのか、期待しています。
私の住み心地
一冬過ごしてみて暖かく、とても過ごしやすかったです。とても住み心地の良いコンパクトなお家で、どんどん愛着が湧いてきています。最近は窓から白鳥が飛んでいくのが見られます。雪解けもだいぶ進んできて、秋に撒いた麦がでてきました。大きな窓から季節を楽しめるのが良いです。春になって雪が溶けたので、引き続き、アプローチを整えたり、家づくりを進めて行きたいと思ってます。
所在地 | 北海道新篠津村 |
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用途 | 住宅 |
工種 | 新築 |
構造 | 木造平屋建 在来工法 杭+布基礎 |
敷地面積 | 1470㎡(445坪) |
建築面積 | 78㎡(24坪) |
延床面積 | 70㎡(21坪) |
工事費 | 2000万円台前半 |
設計監理 | 後藤智揮(後藤組設計室) |
構造設計 | 村田龍馬 小坂大和(村田龍馬設計所) |
施 工 | 後藤武志(後藤組)(現場監督) 田中四郎(棟梁) |
設計期間 | 2021年8月-2022年3月 |
施工期間 | 2022年6月-2022年10月 |
ごも日記 | 「新篠津西の家」編 |
仕様概要 | Ua値 0.35、性能向上計画認定、こどもみらい住宅支援事業補助金交付予定 屋根:ガルバリウム鋼板+通気層+スタイロフォーム3種B120mm(屋根断熱) 外壁:道産トドマツ板+押縁+通気層+スタイロフォーム3種Bt=60mm +高性能グラスウール105mm(外貼断熱+充填断熱併用) 内壁:中霧島シラス壁 床 :道産カラ松板、基礎:スタイロフォーム3種Bt=60mm(基礎断熱) 暖房:灯油温水ファンコンベクター |
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田園風景に立つ小さな平屋。写真右は防風林のナナカマドです。
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外壁は道産トドマツ(木酢液ドブ漬け)で、経年変化で風景に馴染んで行きます。
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自然落雪を促す勾配屋根の素朴な佇まい。旧家(写真左)との往来も配慮した。
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深い軒と柱で切り抜かれた風景には田んぼや畑が広がる。
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キッチンとダイニング。カラ松のベンチは食事にも利用できる。
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小窓から差す柔らかい光が霧島シラスの左官のコテ跡を照らす。
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親子で使う寝室。写真反対は収納。将来は子ども室への分割を見据えている。
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深い軒下を構成する登り梁。
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(左)玄関 (右)大屋根を支える架構
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(左)寝室 (右)欄間越しにつながる空間
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洗面脱衣室は広めのカウンターでゆったりと計画した。